太極武藝館


門下生の声


川山 美樹

 Miki Kawayama
玄門會所属
東洋医学療法「太極治療院」治療師。
1969年 静岡県生れ
2000年 入門



 物事が続かない・・・自他共に認める飽き性の私が、こちらの道場にお世話になって、早くも4年の歳月が流れようとしている。これは、私にとって本当に驚くべきことである。
 そして、更に驚くのが、今年35歳を迎える主婦でもある私が、心身共に、日々、いや毎瞬と言っても過言でないほど進化しているということだ。そして、これは私だけでなく、下は7歳から、上は62歳までの門下生の全員が感じている事だろう。

 「健康になりたい」「自分の心身を鍛えたい」「強くなりたい」「武術が好きだから」「この道を極めたい」等々・・・各々がそれぞれの目的を持って同じ門を叩き、各々のステージで、この道場で学ばせて頂いていることを、その人生に活かしている。

 ここでは、もはや "個人" などという、ちっぽけな考え方や、自分なりの「枠組み」などは通用しない。
 ここで何かを学び、何かを得て成長しようとするには、「個」よりも、もっと「大きなもの」や、「大きな流れ」を感じられなくてはならない。
 私はいま、その「大きな流れ」の存在を見出し、その流れの中に身を投じ、その流れに身を委ねることの安らぎを、ようやく実感している。
 
 稽古では、火曜日の「一般クラス」、金曜日の「武藝クラス」で基本を学び、1年ほど前から拝師候補生として参加のお許しを頂いた「拳学研究會」では、月・水・木で、その細部にわたる復習と確認をし、土・日でその総まとめをするという、実に充実した内容と学習のリズムで稽古が進められている。
 そのような一週間をひとつのサイクルとして、毎日5〜10時間の稽古三昧を一年中続けられるという至福の日々、悦楽の人生を過ごしているわけだ。

 円山洋玄師父、玄花教練のご指導のもとで行なわれる、緻密で繊細な稽古に、そしてそこから得られる、心身に起こる充実感に魅了されている。
 これほどまでに熱心にご指導いただける事など、まず、他所ではありえないだろう。

 太極拳の真伝を学ばれた師父が、さらなる研究と模索の末に手にされた秘伝奥義のすべてを、惜し気もなく、解り易く噛み砕いて教えて下さる。
 本来であれば、かつて師父がそうして学ばれたように、自らでそれらを見て取り、理解して深めて行けなければ決して手にすることの出来ない、貴重な武藝文化の遺産であるにも関わらず・・・

 心身を白紙の状態にし、師父が示して下さるところをその奥妙を十全に取ろうとする。
・・・が、なかなか上手くできない。
 日頃、ついつい傲慢になり、自分の都合が優先してしまっているからだ。
それは、平凡な日常からはあまりに想像を絶する事なので、自分の過去の経験からの理解や、日常の身体の使い方に縛られ過ぎてしまっている私には、見えない事だらけなのだ。その真髄が見えないのだ。
 これ程までに時間と労力を費やしてご指導頂いているのに、取る事が出来ない・・と、落ち込んでしまうこと、数知れず・・・

 しかし、その傲慢な自分、「日常」にどっぷりと浸かって、既成概念に捕らわれている自分に、ようやく気付き始める事ができた。
 自分の内側を見つめ、やっている事と示されている事の違いを認識し、クリアーな意識を持って、真理の月を指し示す "指" ではなく、師父が示しておられる "月そのもの" へ向かっての、軌道修正と微調整ができるようになってきたのだ。

 もちろん、上手くいく時ばかりではない。
一喜一憂・・心境は著しく変化を続けている。
 けれども、最近ようやく、それを続けていけば得られる、ふさぎとどまることのない、 "大きなもの" が見えてきたので、楽しくてならない。 
 日々の稽古のなかで、自分の見たくない部分、醜い部分を、真正面から受け止めて軌道修正を続けて行ける・・・「ひとつの事を得たい」という想いだけで励んで行ける・・・そんな機会を与えて頂いた事に、心から感謝して止まない。

本当にありがとうございます。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。

(了)

(2004年8月寄稿)

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